第一回定例会 締め括り総括
平成13年3月13日(火)

(荒木ひでき区議)

区の福祉政策に怒る!

荒木ひでき  まず、これが一体何だかおわかりになる方は、おられますか。

福祉事業課長  区内の授産施設で作っているクッキーあるいはパウンドケーキ、それからブローチ等、通所している授産の人たちがつくった製品でございます。

荒木ひでき  なぜこの商品を皆さんに見せたかというと、こういう素晴らしい商品があると。どこで買ったらいいのだろうと。育成会の前会長で今、幸陽会の会長をやっている岩本紀子さんという方がおられます。私の幼稚園からの(授産施設の素晴らしい製品を手に) 同級生のお母さんです。同級生のお姉さんが障害をお持ちで、およそ50年間にわたって、岩本紀子さんが苦労して育成会の組織を作り、昭和44年には城南養護学園、昭和49年には矢口養護学校を作ってどんなに喜ばれたか。私は、岩本さんや副会長の長野勇さんに、議員になるずっと前から薫陶を受け、何とか手助けをすることができないだろうかと走り回ってまいりました。

そして、その園の父兄の方と話をしていますと、中には、「荒木さん、私自分が死ぬときにはうちの娘を殺していきますよ。うそだと思うでしょ、だけど私たちの心境はそんなものだよ」と、平気な顔で言うのです。私は議員になって、その問題を突きつけられるたびに、こういう問題を解決しないで一体何の行政だろうと、いつも自問自答しています。

今日、そういうお子さんたちが自立をするために、授産施設で品物を幾らつくっても、現状では売るところが全然ない。そういうことに対して、一体行政の方はどう考えているのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。

福祉事業課長  授産施設として、細々ながら販路はあることはありますが、きちんとお店を持って販売している箇所はございません。パンとかクッキーの類、のぞみ園のアクセサリー関係につきましては、本庁舎1階のコスモという喫茶に置いて、お客様に販売をしています。

また、うめのき園のパンは近所でも販売しておりまして、これにつきましては今後、特別出張所や保健福祉センター、あるいは近所の、例えば南六郷福祉園等の給食の方でも使ってもらえないかということで、セールスの努力をされているところでございます。今後とも、行政として、お手伝いできることがあればお手伝いしたいと考えてございます。

荒木ひでき  今、そういう障害をお持ちの親御さんたちの間で、親亡き後が最大の課題になっていています。自分の子供に亡くなったときに、残された子供たちはどうなるのだろうと、すごく心配をしているのです。今、福祉事業課長のおっしゃったように、例えば、くすのき園ではバザー、イベントで販売。うめのき園のパンはイベントで販売の他、コスモまた地域にPRをして配達を検討していると。その他、のぞみ園、多摩川高島屋福祉ショップ、イトーヨーカドー大井町店、エスパ川崎店。総じて、イベントや大田区外ばかりではないですか。

私はこのバッチをつけて、皆さんにわざと見せて歩いているのですけれど、「そのバッチいいね」とみんな声をかけてくれるのですよ。そして、これを一体どこで買うのだと言われた時に、答えられないのですよ。私は、大田区の区議会議員として本当に情けないと思うのです。

最前線で、その子たちや作業所と直接かかわりを持っておられる福祉事業課長は、このことについて、どうお考えになりますか。

福祉事業課長  作業をしている現場を見ますと、本当に努力して一つ一つ丁寧にお作りになっています。特にアクセサリーについては、楊枝の先にのりをつけてつくっているような姿を見せていただきますと、本当に感動を越して胸が痛くなるような気持ちになります。これが何とか多くの人の手にわたる、あるいは販売できる方法があるとするならば、セールス等にご協力したいという気持ちに駆られる場面もございます。

荒木ひでき そうなのですよ。現場を見たら本当に何とか売ってあげたいと思うのです。私は個人的に、例えば、喫茶店でこれを売ってくれないかとお願いをして、現実にそうなりかけているところもあるし、足立区の東和銀座商店街商店街のように、空き店舗でそういう集合体を作って、ここの店に行けば、福祉の店の品物が全部買えるというようになるよう、努力しておりますが、何とか区のロビーのどこかを使ってやれないか、お答えを頂きたいと思います。

総務部参事  私どもとしましては、この本庁舎におきまして、今おっしゃったような物品の販売場所を確保することは、庁舎のつくりあるいはスペース等の問題がございますので、大変難しいものだと考えております。

荒木ひでき  いつも同じ答えなのですよ。そういう答弁ではなくて、私は例えばワゴン1個でもいいから、コスモの前でもどこでも結構です。とにかく人の集まるところで品物を売って、本当に福祉の大田区だと、こういうことをやっているのだと、やる必要性があるのではないかと。少なくとも、父兄が「私が死ぬときはうちの子供を殺して死ぬ」なんて、平気な顔をして言われるような大田区ではいけないのです。ぜひ検討していただきたい。

最後に、区長にまとめてほしいと思います。よろしくお願いします。

西野区長   幸陽会には、庁舎移転の際に、喫茶店コスモの運営をお願いしております。最初はできるだけこぢんまりと、そしてだんだん起動に乗ってきたら、範囲の中でやれることをおやりくださいとお約束をしました。コーヒーの方も比較的順調に進んでいるようでございます。あそこで働いている障害をお持ちの方々の能力その他もございますが、そういう中で何か可能性があるのか、十二分に当事者の方とご研究を願いたいと思います。

荒木ひでき  コスモの人たちが楽しそうに、元気で頑張ってやってらっしゃる。行政の一環として、本庁舎の片隅を使ってやっていることが、あの人たちにとってはどんなに希望になっているか。それをもっと大田区として大々的に取り組むよう要望して、締め括り総括とさせて頂きます。

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