第1回定例会一般質問
平成一四年二月二八日

(荒木ひでき区議)
今回は「区民満足度の高い区政とは何か」という最大の課題の、ある一面について話をさせていただきます。はじめに、平成14年2月5日の「川口順子外務大臣より外務省職員への訓示」の演説原稿の一部を引用します。
・・・私は外務省で仕事をするにあたって大事なのは改革であり、当然ながら抱えている様々な外交課題に取り組んでいくことであると思っております。私が外務省に来て最初に思ったのは、抽象的な言葉が多くて、これを国会や一般の方にわかるように言う努力をしてみても難しく、わからないということです。国民に理解されない外交というのは国民に支持されない外交であり、外務省は国民の皆さんに理解されるような言葉を使って外交を説明していかなければいけないと思います。

自分の『目』で見て自分の『ことば』で喋る

国民の目線で国民と一緒に考える外務省、お客様志向、顧客満足、それが物事全ての考え方の基本にあるべきだと思っています。・・・

「国民」と言う言葉を「区民」に入れかえてイメージしてみて下さい。まさに危機的状況の中で「お客様志向」「顧客満足」と言い切った演説の中に、私が長い間苦悩してきた「行政とは何か」という設問に対する明解な答えを見つけました。この文章全文は、国や地方を問わず、行政に対する強烈な問題提起であると考えます。

さて、『「おおた改革推進プラン21」新時代に適応した改革を目指して』の基本指針にはこうあります。・・・今後、区政の自主性及び自立性を拡大し区民満足度の高い個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現していくためには、区の組織機能の強化や職員の人材育成に努めるとともに、なお一層堅実で計画的な行政運営を展開していく必要がある。このため、区民と区行政との協働に基づき推進する区政全般のシステムの改革に向けた新たな取り組みに対する基本的視点と、具体的な行動計画策定に向けた基本方針を明らかにするものである・・・。「区民満足度」と「協働」は、今後最大の行政課題であります。さらに、「行動計画」の中には、・・・なお一層の区民サービスの向上を図るため、各部局の窓口事務処理の現状と課題を分析して問題点を明らかにし、具体的な改善策を実行することで「さわやか区役所」の実現を目指す・・・とあり、この部分こそが改革の最優先課題であると考えます。これを平成15年までと期限を決めずに、1日も早く実現することが改革推進の原動力になります。旗を高く掲げて、まず身近なものから始めるのです。質問します。

@ 「さわやか区役所の推進」を提言してから一年になりますが、「さわやか区役所」とは何か、実現に向けて何をしてこられたか具体的にお答え頂きたい。また、「さわやか区役所」を実現するためには何が一番大切かを教えて頂きたいと思います。

A 具体例を出します。今まで私が具体的な事例を出して質問をすると「荒木さんの質問は身近な事例でわかりやすいが、65万区民全体の問題として、どう捉えるかが問題だ」と申された理事がおられましたが、私が取り上げる事例の数々は65万区民にいつでも起こりうることであり、限定された特殊な例ではないことを申し述べておきます。
自営の父親が1週間前に突然倒れ、緊急入院中。母親はもともと体に障害があり、働くことができない。自分は働いているが、調べてみたら借金もあり、来月から家賃の支払いもできない。20代の青年は悩みに悩んだ末、区役所に相談に来る。受付で1階の広聴相談を紹介されて緊張しながら窓口に行き事情を説明すると、4階の福祉課を紹介される。しかし、何も該当しないということで無料法律相談を紹介され申込手続きをすると、2週間後においで下さいと言われ、呆然として帰宅したそうです。
その時、この青年に「さわやか区役所」の話をしたら、さぞ複雑な表情をしたことでしょう。この事例の場合、問題は医療・福祉・住宅・法律相談と各部局にわたります。今の時代、複雑な話こそ普通のことであると考えます。それゆえ、応用問題を解くことができる窓口もしくは職員はないものでしょうか。何が問題なのかをお客様から聞き出すことが出来る職員の育成・配置が必要だと考えますがいかがでしょうか。また、区役所がどこまでやるべきかという課題についてもお答えください。

B 「1人で悩んでいて苦しかった。思い切ってここにきて良かった。ありがとう」と、涙ぐんで受付に声をかけている高齢者を見て、無料法律相談の意義がよく解りました。しかし、緊急時に2週間後においで下さいではどうにもなりません。拡充、緊急性のある場合の対応をどのように考えておられるのか。東京弁護士会の無料相談の紹介等ということではなく、行政と関わる問題の場合の区としての対応を具体的にお答えください。

(企画部長) 新しい時代における新しい自治体の運営をしていく。このためには、新しい時代にあった職員の意識改革が必要との認識の下、これからの区役所はどうあるべきかという観点から区役所を考え、区役所に区民がいらしたときに、さわやかな気分で満足してお帰りになる対応ができる区役所という意味で「さわやか区役所」を実現することを決めました。具体的には、まず、区民サービスを提供する第一線の職員による熱意を期待して公募した結果、「さわやか区役所」を実現すべく手を挙げた19名による研究会が昨年の7月に発足しました。研究会では、大田区のサービスの現状調査をすべく、窓口に関わる250人のアンケート、来庁した68人区民のアンケート調査、自治会・町会等の役員、障害者団体の方々との懇談会を実施しました。そして、窓口環境の改善に向けての「窓口環境整備班」、区民とともに窓口からさわやかな風を起こそうというテーマで「ラムビー班(ラムネのビー玉の意味)」、さわやかな窓口から便利と安心をお届けするというテーマで「ネット班」、お客様に満足して頂くための手法というテーマで「まごころ研究班」と4つに分け、延べ66回にわたり検討を行い、近日中にその報告をしたいと考えております。「さわやか区役所」を実現するためには、職員一人ひとりが区役所を代表する気持ちで自らの資質と対応能力を向上させることが大切だと考えています。

次に応用問題の解ける窓口・職員についてですが、必要な情報を提供できる柔軟な応対能力が必要になろうかと思います。どこまでやるかということについても、区民の要望全てをその場ですぐに解決することは難しいものの、説明責任を果たすとともに解決できないまでもその糸口を見つけていくことが必要と考えます。
法律無料相談については、本庁舎移転を機に月2回から3回に増やしていますが、ご指摘の点は、今後改善をしていきたいと思っております。

<荒木ひできニュースメニュー画面に戻る>