平成14年第二回定例会 代表質問
平成14年6月12日( 所要時間 50分 )

どうなる大森赤十字病院


荒木ひでき  今、私が地域で一番質問されることは「大森日赤病院が廃止されるんだってね」「病院の先生もだんだん減っているらしいよ」「隣の保健所の跡と一緒になってでっかくなるらしいね」「どっかの区に移転するんだって」。特に、自治会での日赤共同募金の手伝いなどでは、この話しでもちきりでした。風聞の主なものとしては、

1 練馬区で区として病院を誘致していて移転 2 耐震上の理由で将来的に廃止 3 アサヒビール跡地に移転 の3点に集約されます。

私も、前々から関係各部局に照会していますが誰もわからない。日赤本社に取材してもらちがあかない。練馬区保健福祉部に取材を申し込んだら、ホームページを見てくださいとのこと。早速見てみたら、15ページにも及ぶ「新たな病院整備の基本的な考え方」というのが出てきました。

それによれば、「練馬区内の病床の確保を図るためには、新たな病院の整備が急務であり・・・ここではその候補地の1つとして、区有地である総合教育センター敷地を例にすることとした」と、用地まで明記しています。なるほど、これを見た人が老朽化した大森赤十字病院のことを考えた時、練馬区に移転かと結論づけることも無理はないと考えます。耐震上の理由もうなずけます。アサヒビール跡地の話しは用途も決まった現在、明らかな風聞といいきれます。年間延べ30万人の利用者がいるといわれる大森赤十字病院が公的病院として、又、大規模災害が発生した際の区民の生命を守る機能を持つ拠点として、そしてここが重要なのですが、今の場所に厳然として屹立していくために、大田区としていったい何をすればいいのか。

私は正確な判断材料を持っておりません。大森赤十字病院の現状をそして将来について、日本赤十字大田支部長でもある区長にお答えを願いたいと思います。

西野区長  日本赤十字病院につきましては、地域の公的な病院、中核医療機関として私たちは理解しております。経過についてお話になったことは事実であり、そのとおりでございます。同病院は昭和28年6月、出張所側の所に木造モルタル2階建ての診療所として出発をし、次々と後ろに建て増しを繰り返して今日に至っている。従いまして、鉄筋化になってから40年以上経過している部分もあり、耐震上も問題があるのではないか、このようなことが言われています。

 今後どうするか。まず、財政的な問題からすると、経営者は大森病院そのものでございます。大森病院は多少の黒字という会計報告を私も拝見していますが、今の容積の建物を現状の土地に建て直して、その利益金で償還ができるだけの利益が出ているかというと出ていません。いろいろと隘路がございます。それらの隘路をどのように解消すべきか、それは大田区あるいは日本赤十字社が考える問題ではございませんで、当事者が考えて、その計画の具体化のために働いてもらわないと私どもも手の打ちようがない、これが現状です。従って、大森病院にそのような計画を一日も早く作ってもらい、実態を明確にして頂きたい。私どもといたしましても、半公的な病院としての大森赤十字病院、中核病院としての機能を存続させるために何をやれるか、現在、研究中でございます。

それと、一部の土地を提供して・・・という話しがございましたが、その部分は東京都との約束ごとで平成18年にならないとはっきりしない部分でございますから、それらの具体化は出来ません。

 そういう各種の条件がクリアーした上で、あるいは、当事者の計画を見た上で最終的な結論を導き出す、こういうことになろうかと思います。


議会の採決と行政の責任を考える

荒木ひでき  ある大田区在住の好青年の話をします。仕事は大工さん。趣味はスケートボード。それも、日本ではちょっと知られた存在です。彼の、大田フェスタにおけるスケートボードパーク実現のための取組みとスケートボードに対する熱い情熱は、青年向け雑誌にも大きく取り上げられています。これがその時の、土木清掃委員会に付託され平成13年3月9日に議決された、『12第56号「件名 多目的スペース設置に関する請願(趣旨)」』です。

とかく批判されがちな今風の若者の中に、私はたくましさ、情熱、そしてなによりも目標に向かって何事をも恐れない勇気を、ありありと見ることが出来ました。誠にうらやましい限りです。今彼らは「大田区議会で請願を採択されたこと」を心の支えに、将来、オリンピック種目になった時に「日の丸」を背負って出場するのを夢見ながら、あっちこっちの練習場を飛びまわっております。

話を分かりやすくする為にこの事例を出しましたが、これを何とかしろといっているのではありません。「議会の採択」とは何かを、行政に対し問わずにはいられないのです。我々議員は、請願・陳情を真摯に受けとめ、時には激論を交わし、態度表明に関しては苦渋の選択をせざるを得ない場合もあります。委員会で胃の痛くなることも度々です。それはなぜか。請願や陳情の文章の行間からそれを書いた人の苦しみや悲しみや怒りが伝わって来ることがあるからです。先程の事例1つを取ってみても、簡素な文章の中に、若者の熱い熱い思いが内在しているのです。

私は、請願・陳情で議会の採択を受けたものの、まだ実行されていない物を平成11年度までさかのぼって調べてみました。慎重に時間をかけなければ行政として対応出来ないものも確かにありますが、全部で11件でありました。現時点での処理経過及び結果を見てみますと、調査検討を行ってまいりたいと考えています。

設置が可能かどうかを地元の方々や関係機関と相談を進めたいと考えています。

自治会連合会など関係機関の意見を聞きながら検討していく。などなど、関係部局の努力をよく表わした、非常にわかりにくい文章になっています。質問します。

「議会の議決と行政の責任」をどのように考えているかお答えを願います。さらに、採決された請願・陳情の提出者に対して、処理経過、即ち、今、どのような状況でどのように対応しているかなど、行政として何らかの通知をしているのかお答え下さい。

西野区長  請願・陳情は、議会から私あてに報告がきます。こういう陳情を採択した、あるいは不採択したと。そして、半年後か一年後かいろいろタイムラグはありますが、その後の扱いをどうしたか、議長に返事を出すとともに、陳情者に対しても同文を差し上げております。

ホームレス猫問題 第5弾!!  小動物虐待の悪しき社会的風潮に喝!


荒木ひでき

関連なき連鎖≠ノおびえ同時多発する動物虐待

飼い犬虐待の男性書類送検へ

15才3人がウサギ撲殺、枝川小で

野良犬12匹毒殺高松の空き地

ウサギ撲殺で県教育委が通知「心はぐくむ教育を」

子猫が首切られ道路に放置

子猫虐待、近所から胴体発見

動物虐待後絶たず改正法一年効果に? などなど。

これらは、過去2ヶ月の動物虐待を報じる新聞の見だしの数々です。

こうなると腹が立つよりただただ悲しくなるのはなぜなんだろう?自問自答しています。「日本人の魂の地軸」が少しずつ狂い始めているのかも知れません。

私は常々、ホームレス猫の問題は単なるペットの問題ではなく、教育問題なのだ。即ち、「蟻でも金魚でも鳥でも猫でも犬でも、どんなに小さくても命があるのだ。命を粗末にしてはならないのだ。ということを実戦するものであり、子供達に命の大切さ尊さを具体的に示すことなのだ。大人達のこのような1つ1つの積み重ねが青少年の凶悪な犯罪を防ぐ。遠回りなようだが、しかし確実な道なのだ。大田区の子供に命の大切さ尊さを高らかに示すのだ」と、お訴えをしてまいりました。しかし私の真意もなかなか理解して頂けませんでした。質問します。

全国的な小動物虐待の悪しき連鎖に対し、それを起こさないための大田区としての対応を、さらには、「動物の愛護及び保護に関する法律」が施行されて1年になりますが、今日の小動物虐待の社会的風潮の中で、ホームレス猫に対する区の考えは変わらないのか、お聞かせ下さい。

さらに、小中学生に対する教育。命に対する優しさを今こそ徹底すべきだと思いますが、区の考えをお聞かせ下さい。

西野区長  動物愛護週間事業として区報でこれらの問題をとりあげ、継続的に啓発活動を行っていますが、「命を大切にしましょう、ペットは責任を持って飼いましょう」といった一般論でPR記事が構成されています。もうちょっと個人個人がお読みになってわかるような記事の工夫は加えて参りたいと思います。

 環境庁は、家庭動物等の飼育及び保管に関する基準というものを決めております。これでは、猫の所有者については、猫の健康や安全の観点から屋内飼育に努めるものとなっており、万一屋外に出す場合には、不妊去勢手術などを行いなさいとなっています。野良猫になっていると誰がそれをやるのか、こういう問題については、特に書かれておりません。従いまして、野良猫にならないように飼育する。責任者が責任をもって管理して頂きたい、ということになります。

事例にみる勝ち組商店の条件とは・・・

荒木ひでき  「スーパーやマクドナルドが駅前に出来たおかげで店の前を人はいっぱい通るが、お客様ではない。売上はガタ落ちだ・・・。」ある商店街の悲鳴です。これに対して、私は必死になって訴えます。「店の前を今まで以上の人が通るなら、各店の独自の努力で1人でも多くのお客様を獲得してください。今がチャンスです。人はいっぱい歩いているんだから。今までこの町から外に向かって買い物をしに行っていたお客様がこの商店街に戻って来たのだから」と。

手元に産業経済部発行の「大田区内中小企業の平成13年度 第4四半期の景況について」があります。いつも感心させられるのは調査員のコメントです。そこには、前述のような商店が多い中、

・スーパー等と競争せず、独自のサービスで売上を確保している(青果販売)

・調理しやすい状態まで手を加える為、高付加価値商品として値崩れせずに収益を確保(精肉販売)

・社長自らの営業活動により新規顧客が増加し、今後の売上増加が見込まれる(米穀販売)

などといった元気ある意見も見受けられます。これらを集約すると、勝ち組の条件は

1.大型店と同じ土俵にのぼらない
2.独自の付加価値商品を開発する
3.宣伝を効果的に行う
4.雰囲気から推測すると元気。

ということのようです。このことは、先に述べた商店街にとって、いいヒントになると思います。

商店街の衰退は、大田区行政の基盤である地域の自治会運営にも重大な障害になっています。区民との協働も元気な商店街抜きには考えられません。5年10年後の大田区はいったいどうなっていくのか心配です。商店街は街の中心であり、触れ合いの場として重要な役割を果たしています。商店街は個人商店だけのものではない。少子高齢社会がより進展する中で、地域において子供や高齢者を支えていく、地域を見守る目としての役割も持っています。地域社会の社会資本であり、文化の創造継承の場としての役割も大きいのです。我々は地域社会の未来のためにも、決して、決して、商店街を衰退させてはならないのです。  質問します。

「大田区内中小企業の景況」に限らず、これはと思うようなヒントになるプリント等を、まじめに汗を流して働いている大田区の全店主の手元に確実に届くようなシステムを考えて頂けないでしょうか。行政が個店に出来る数少ないことの1つだと考えます。方法はいくらでもあると思います。

平成14年度大田区産業振興協会の組織改正には大田区の産業復興への強い強い意欲を感じます。特に企業支援グループ。取引促進チーム。受発注、海外相談事業チーム。経営支援。子供商店セミナー。頑張ろう商店支援セミナー。組織図を見ているだけでワクワクしてきます。どうぞ今回の組織改革の要点と意欲をお話しください。

西野区長  とくに商店街関係に限っていいますと、区商連が加入者にお配りしていますので、区商連新聞によってぜひともご一読頂きたいと思います。なお、今後とも有益な情報をというご指摘も頂きましたので、内容の充実とともに、どのような手段方法で皆さん方に知りうる状況にするか検討して参りたいと思います。

 産業振興協会の組織改正問題でございますが、従来は仕事別にそれぞれ担当者がいた。これを4月からは、その相関関係をつなげながら対応していく方法に変えた訳でございます。そうすると、個々の担当者の間口が広がりますので、オールマイティですべてが答えられる、そういう方向で努力をしている。それは、あえて言うならば、企業支援等も含めてなんでも相談してくださいよ、組織としてワンストップサービスができるように致しました、こういう考えです。


高齢者の知識と経験を生かす

荒木ひでき  厚生労働省が発表した『めざせ「健康日本21」』に、「21世紀の日本を全ての国民が健やかで心豊かに増進し、発病を予防する「一次予防」に重点を置く対策を強力に推進し、早世(早死)や要介護状態を減少させ、健康寿命の延伸等を図っていくことが極めて重要になっています。」と述べられています。今や「健康寿命を延ばすこと」は国是です。

大田区の場合、自治会・町会の存在が大きな役割を果たすと考えます。例えば、山王三・四丁目町会では薬師堂という歴史ある場所で、子供を対象とした「寺子屋」を立ち上げています。学校週5日制の意義は、学校・家庭・地域社会での教育や生活全体で、子供達が生活体験や自然体験・社会体験・文化スポーツ活動など様々な体験を通して豊かな人間形成を行うとありますが、この地域では大成功しているようです。トンビだこ作り・囲碁・昔語り・親子で浴衣作り。大人バージョンで面白いのは包丁研ぎ。これらの講師は全て地域の方であり、すべての場面に高齢者の知恵が光っています。『子供は街の宝 高齢者は街の自慢。人にやさしい街づくりを』とは、この自治会のキャッチフレーズです。ぜひ理事者の方々の現地視察を望みます。地域の力・高齢者の力は、大田区の大きな大切な財産です。質問します。

専門知識からけん玉やあやとりに至る自ら培った特技を伝承するとともに、指導者として地域社会に参加して頂くために、さらには、高齢者の方々にとっては大きな生きがいづくりのために、出張所行政センター単位での「名人名鑑」のようなものを、地域と協働で作製したらよいと思います。地域やグループで何か学びたいことがあったら、名人名鑑を見ればすぐにわかる。協働を提唱する大田区では将来絶対に必要だと思うんです。行政として後押しすることは出来ないでしょうか。

長引く景気低迷の中、高齢者の雇用環境は極めて厳しい状況にあります。しかし、高齢者の中にも働く意欲があり、元気な人はいくらでもいます。働くことに生きがいを感じる人も多い。長年にわたり培われてきた知識と経験を生かす。高齢者はまさに人材の宝庫です。「高齢者の就労について」大田区の見解をお聞きしたいと思います。

西野区長  街の中にはお年寄りでも、いろいろ一芸に秀でた人がいる。そういう人がボランティアとしていろいろ活躍して頂くということでいいのですが、今のしくみでは「シルバー人材センター」がございますので、そちらの方で優秀な方々について把握をしてもらったらどうかと、今、お聞きしながら思いました。イベントなどの場合には地域あげてやりますから、たとえ名簿を作らなくても、隣のおじさんおばさんはこんなことが好きだよということが分かっている。ですから、そういう人に是非ともイベントに出てご活躍いただけるように「地域行政センター」の方で工夫してもらったらいいなと、思ってます。

 それから、シルバー人材の方は、能力開発のための講習会もやっております。そういう時に逆に講師という立場でご活用申し上げた方が良いのかもしれません。そういう点で今後、シルバー人材センターの方に働きかけをしておきたいと考えます。


防災問題、2度と惨事を引き起こさないために

荒木ひでき  今年5月7日、京浜島不燃ごみ処理センターで火災が発生し、東京消防庁の酒井消防隊長が殉職されました。心より心より勇士のご冥福をお祈り申し上げます。我々は、同じ過ちを決して犯してはならないと決意しなければなりません。私は、5月27日に防災委員会で土木清掃委員会と合同で、京浜島不燃ごみ処理センターの現地視察にまいりました。現場そして現場職員との意見交換の中でわかったことは驚くことばかりでした。質問します。

5月7日16時8分頃発災、16時30分ごろ清掃部に第一報。「ぼや」という事で帰宅。みなさん翌朝の新聞を見て初めて重大事故だったと知ったというのが真相のようです。情報不足の状態であり、事故の概要を把握するまでに時間がかかり過ぎます。区内で発生した災害などに対しては、区の危機管理を考える立場からすれば、区が主体的に関係機関と連携を取り、情報収集に努めるべきであると考えます。何が起こるかわからない危機管理能力を問われる現代社会において、1つの専門部局で情報集約しなければならない時にきていると思います。防災課に電話したら、それは所管が清掃部ですから清掃部に電話してくださいでは話しになりません。

意見交換でわかったのですが、ごみ処理センターへの搬入ごみの中に、スプレー缶だけでも1日に約2万本。カセットボンベ・ライター・マッチなどは見当もつかない状況で、「搬入ごみの中の、火災の原因となる危険物の施設ヤードでの除去」は、物理的に不可能です。「最後まで使いきってからごみとして出して下さい」ということの区民の皆様に対する徹底という意味では、危険物の回収場所を指定する必要があると思います。外国のように、危険物取扱所として最適のガソリンスタンドに回収ボックスを設置するなど、危険物その物を処理するシステムを早急に立ち上げなければ、このようなことは再び起こると考えます。清掃車の火災が心配です。区の考えをお聞かせ下さい。

煤で真っ黒になった火災現場に供えてある花の数々 そして飲料水 私は忘れません。

西野区長  ご指摘頂きましたように、清掃工場にあって消防署の方にあっては、本当に残念な犠牲を強いてしまいました。心から弔慰を表わしたいと思います。連携が必ずしもよくなかったのではないかというご指摘でございますが、このような問題はですね、第一当事者と第二当事者とすべて区がその管理下、あるいは指導下に入れるということはなかなかなりにくい。火災というとどうしても消防が出動する、殺人犯があったというと警察が出動する、その逐一を区役所に入電するかというと、そういうしくみになっておりません。一方、大規模な震災や風水害の際には、大田区として災害対策本部を設置いたします。そして責任者である首長の下に、警察、消防、その他各種団体がみんな連携をとれるしくみのもとに集まることになっております。ですから個々に対応することで足りる問題と、そうではない、全体で集合して総合的に対処しようとする問題の2つに分けて考えていただく必要があろうかと思います。

 消防として責任をもってこの火災に対処しようと、しかし、区の関連施設で起こったが故に、私の携帯電話に消防署長から連絡が入った、そう私は理解しております。すぐに現地の方と連絡がとれる時代でございますが、混乱している中では、適切な情報の入手はなかなか難しゅうございます。

スプレー缶等の問題でございますが、これは「全部使い終ってから捨ててください」と啓発はしているんです。マッチ、ライター、錆びたカセットボンベ、いろいろございます。安全に捨てて頂きたい。今後とも皆さんにPRを進めて参ろうかと考えております。


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