決算特別委員会 総括質疑
平成11年10月13日(水)

(教育問題)

荒木ひでき議員

 私には高校1年生の友人がいます。その子は、中学1・2年の頃は、不登校や夜の徘徊を繰り返し、大変不安定な生活をしていた。その子が中学3年生になると、「俺、真面目に勉強をやってみるよ」と言ってきた。さらに、昨年の今頃、その生徒が中学校の文化祭で、弁論大会に出るから聞きに来てくれと招待を受け、行ってみた。すると、その話は、中学1・2年の頃、色々と回りには迷惑をかけたけれども、ある時ふと気がついて、もし、勉強をして、九九ができなかったら、そこまで戻ってそこから始めればみんなに何とか追いつけるのではないかと思って勉強したと。その子は周りに友達がたくさんいる子で、友達に対する感謝の気持ちが内容一杯にあふれていて、私をはじめそこに来ていた先生、PTA、みんな泣いていた。とても感動的な経験をその子の作文の中からさせて頂いた。

そして3日後、進路のことで相談があると、区役所にやってきた。私は教育問題は得意ではないので、学務課長のところに連れていき、悩みを聞いてやってくれと頼んだところ、学務課長は実に熱心に話を聞いてくれた。そして、今、君がやることは、何も心配しないで勉強することだと励ましてあげ、その子は喜んで帰っていった。あとで、その子は「生まれてはじめて大人が俺の話を真剣に聞いてくれた」と私に話してくれました。それで一生懸命勉強したのでしょう。見事、高校に合格することができました。私は、その努力に対して非常に敬意を払い、とてもうれしくなり、教育長にもそのことを報告し「まさに大田区の教育の勝利ですね」と言った。

しかし、後でもう少し考えてみると、何で学校の先生にそれを話さなかったのだろうという疑問が出た。何か一言、何か機会があれば立ち直れる、21世紀の大田区を担っていく青年になるような子が、今、精神的にフラフラして問題児とされている子供達の中にいっぱいいるのではないかと、私は感じた。

まず、学務課長にその子の感想と、なぜ「大人にはじめて真剣に話を聞いてもらった」という発言が出たのか、今、学校がどうなっているのかお答えいただきたい。

 

学務課長

自分自身の現実を見据え、頑張っている印象を強く受けた。また、住民の方々との対応というのは当たり前のことだと思っている。学校の先生が話を聞いてくれなかったということは定かではないが、率直な形で先生方と話し合っていれば、また、別のいい面が出てきたのではないか。

 

荒木ひでき議員

担任の先生達は、多分、一生懸命やっていると思うが、その子の心に響かなかった。これは1人の子の例だが、これを全体の話として考えると、一体、今の中学のスクールカウンセリングなど、自分の悩みを本当に話せるところなのか。

 

学校教育部長

スクールカウンセラーの方々もいろいろ親身になって子供の心を開きながら相談に乗っていると思う。たまたま上手くいくケースと上手くいかないケースとがあると思う。少なくとも不登校など深刻な教育問題がある。スクールカウンセラーや心の教育相談員など、諸々の制度作りを行いながら、それを有効に機能するような手だてをしていかなければならないと思っている。

 

荒木ひでき議員   来年から大検制度が変わるが、どのように変わるのか。

学務課長

大検制度は、高校を卒業していない者を対象に、大検合格で高校卒業と同等の資格を認定し、大学入試受験を可能にする制度である。今回、アメリカンスクールや在日外国人学校など、学校として認められていない学校に通う生徒にも大学受験の門戸を開いた。

 

荒木ひでき議員

 自分の通っている学校に魅力を感じなければ学校に行かず、自分で違う道を選んで勉強し、小中学校を卒業していなくても大検を受験して合格さえすれば、大学受験ができるということか。

 

学務課長

 極論は可能だが、決して望ましい姿ではないと思っている。それぞれの過程を踏む中で、社会のつながりや教養を身につけていくのが大切だと思っている。又、現在は、子供の将来を踏まえ、不登校でも学校と連携をとっているならば卒業認定がされるなど、かなり緩やかな形で子供の将来を組んで対応しているのが現実である。

 

荒木ひでき議員    大田区の考える「いい子」とは?

              教 育 長

 全人格的に、いい子、悪い子という評価はできないし、すべきではない。あえて言えば中教審の通りであり、「これから育もうとしている子供像については、これからの社会をたくましく生きるために、まず健康であって、そして、どんなに社会が変化しようとも、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断して行動して、よりよく問題を解決する資質や能力を身につける。さらには、自らを律し、他人とともに強調し、他人に思いやる心、感動する心など、豊かな人間性を身につける」と書いてある。私どもはそれらの子供達の育成のために努めて参りたいと考えている。

 

             荒木ひでき議員

ますますわからなくなった。大田区の21世紀は人です。今の子供達が大きくなり、いい大田区を、いい日本を作っていくのだと思う。今こそ、教育委員会は力の見せ所ではないか。より一層、頑張ってもらいたい。

 

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